情報発信力で注目を集めるベイジ。「ナレッジを言語化する」文化を根付かせた背景
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情報発信力で注目を集めるベイジ。「ナレッジを言語化する」文化を根付かせた背景

PRAZNAマガジン

株式会社PRAZNA(プラズナ)が、さまざまな企業のナレッジマネジメントやDXの取り組みを紹介するマガジン『ひとりの「知ってる」を、みんなの「知ってる」に』。第6回は、社員の日報を公開する「ベイジの日報」や、ナレッジ共有サイト「knowledge/baigie(ナレッジ・ベイジ)」など、ナレッジの発信に積極的に取り組むWeb制作会社『株式会社ベイジ』の事例を紹介します。

日々の業務を通じて、社員それぞれに芽生える気付きや学び。ベイジでは、そうした発見を各社員たちが積極的にナレッジ化し、オウンドメディアの記事として一般公開しています。社員がオウンドメディアを活用してナレッジ共有に取り組む意義や、ナレッジを外部に発信することのメリットについて、ベイジ代表取締役の枌谷力さんにお話を伺いました。

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株式会社ベイジ 枌谷力さん
BtoB領域を強みとするWeb制作会社・株式会社ベイジの代表。デザイナーをベースにしながら、経営者やマーケター、ブロガーとさまざまな顔を持つ。専門分野は、BtoBマーケティング、UXデザイン、UIデザイン、組織デザイン、各種リサーチ、コンテンツマーケティング、採用マーケティングなど幅広い。

会社の文化がコンテンツとしての価値を持っていた

ーーベイジさんでは2014年から、社員の日報を外部に公開するWebメディア「ベイジの日報」を運営していますよね。日報を公開するという発想はどこから生まれたのでしょうか?

ベースには、情報を発信することを大切にするという、創業当初からの価値観があります。

私が創業した当時のWeb制作会社は、広告代理店の下請けや孫請けで制作をスタートすることが珍しくありませんでした。しかし、ベイジでは顧客との直請けスタイルを行ないたかったんです。小さな会社で資金的に余裕もなかったので、広告を打つことはできなかったのですが、情報発信なら自分たちでもできるじゃないですか。マーケティングやデザインなど、Webの仕事にまつわるテーマの情報発信を行なっていれば、そのうち誰かの目に留まり、仕事が広がっていくのではないかと考えたんです。

創業当初からコーポレートサイトには社長ブログを設置し、私がブログを書き続けていました。ところが、この形式だと私が忙しい時期には情報発信が滞ってしまうんです。会社として、もっと安定的にコンテンツを出し続ける方法が必要だと考えたときに目を付けたのが、社員が毎日書いている日報でした。

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ーーとはいえ、日報はそのまま公開しても面白いものではないように思います。「ベイジの日報」は、なぜ読み物として成立しているのでしょうか。

日報の書き方が影響していると思います。当社の日報は、単なる業務記録のために行なっているわけではないんです。

日報を書く一番の目的は、行動指針の浸透でした。会社では社員に向けて、行動指針やカルチャー、バリューなどを作りますが、ただの置き物になってしまうことが多いと思います。ベイジではそうならないように、「どうすればみんなが行動指針を毎日意識するだろうか」と試行錯誤した結果、辿り着いたのが日報だったんです。

毎回、ベイジの行動指針の中から一つをピックアップして、照らし合わせながらその日の自分の行動や気付き、考えたことを自由に書く。ルールはこれだけです。毎日社員から上がってくる日報の中で、外に公開しても良さそうなものだけを「ベイジの日報」に掲載しています。

ーー自由度が高いからこそ、社員それぞれの色が出て、読み物としての面白さが生まれているのかもしれませんね。

そうですね。実際、「ベイジの日報を読んで会社に興味を持った」など、採用に寄与するケースが少なくないので、社員の人となりや会社の雰囲気が伝わりやすいものを意図的に選んでいます。広く読まれるコンテンツではありませんが、ベイジに興味を持ってくれた人にはニーズがあると思うので。

「記事を書く」工程を通して、情報をナレッジ化する

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ナレッジ共有サイト「knowledge/baigie」。マーケティング、デザイン、働き方など、さまざまなカテゴリのナレッジが集約されている。


ーー2019年に立ち上げたナレッジ共有サイト「knowledge/baigie」では、さらに体系化されたナレッジを発信しています。

実は、必ずしも社内に溜まったナレッジを外部に向けて改めて発信しているわけではないんです。「これから社内でナレッジ化したいこと」をコンテンツにしていることも多くあります。社員と相談の上でナレッジ化したいテーマを決め、リサーチして、文章を作り、外に公開しする。この工程を通すことで、外部発信と同時に社内ナレッジ化をおこないます。

ーーそういう場合は、「ナレッジ化」のゴールとして、記事公開を設定している、ということですか?

その通りです。そもそも、どこまでまとめたらナレッジ化したと言えるのか、判断が難しいと思います。極端な話、チャットでみんなに話すだけでも、ナレッジ共有と言えてしまう。なので、当社では「外に公開する」をゴールとしているタイプのナレッジが存在し、それがブログのコンテンツになっているのです。

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ーー社外へ発信しながら、社内へのナレッジ共有にもなっているのですね。実際、記事としてまとめることで、自分のスキルの棚卸しになるだろうなと思います。

記事化するコンテンツに関しては、スキルの棚卸しはもちろん、社員自身が学びたいことを題材にすることも多いです。例えば、「ウェブ・ユーザビリティの簡単9原則」の記事はデザイナー2人が共同で担当したのですが、「ユーザビリティ」というテーマは担当者自身の関心事でもありました。ヤコブ・ニールセン博士が提唱したUI設計における「ユーザビリティ 10 原則」というのがあるのですが、よくまとまっているものの、抽象度が高くて実務の中で応用するには少し苦労する。そこで、彼女たち自身が入門者も想定したもっと直接的で分かりやすい「ユーザビリティ10原則」を書いたわけです。

――社員さんたちは通常業務もある中で、記事の執筆は負担にならないのでしょうか?

最初の頃は、記事執筆のための時間を必ず業務時間内で確保し、そのスケジューリングまで私が率先して行っていました。例えば、月曜日の10~12時は記事を書く時間に充て、骨子が完成したら報告する。次週の木曜日は、社内からのフィードバックを反映しながら記事を書く時間とし、他の案件が入らないように調整する……といったように、執筆のための時間をキープしておくことで、通常業務+αの負担にならないようにしています。習慣がある程度できると、後は本人に任せてしまいます。ただ、「隙間時間に書いてね」ではなく、業務時間のどこかで時間を取って書く、ということは常に伝えるようにしています。


ナレッジの共有と、情緒の共有を分ける

ーーオウンドメディアの記事が、社内へのナレッジ共有にもなっているという話でしたが、記事以外の形でまとめているナレッジもあるのでしょうか。

記事を書くにあたっては、言葉の使い方や外部との関係性などで考慮すべきことが山ほどあるので、外部に出せるものだけをナレッジとするのには限界がありますね。アジェンダの共有方法や議事録の作り方など、社内の基本ルールに関しては、Backlogの社内wiki機能を活用して細かくまとめています。

wikiを始めた当初は、半年くらい誰も更新しない期間があるなど模索期間も多々あったのですが、根気強く続けて2年でやっと上手く機能するようになりました。執行役員の今西が担当者として責任を持って見てくれているのも大きいですね。

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ベイジの社内wiki。ルールから仕事ノウハウまで細かく分類され、求める情報にアクセスしやすい


ーー細かくナレッジがまとめられていると、転職してきた人にとってもありがたいですね。

そういう声が一番多いですね。当社はコロナ禍以降、ほぼリモートワークに切り替えており、採用もリモートで行なっています。そのため、社員約30人のうち、リモート採用だった13人に関しては、入社したらいきなりリモートワークという状況でした。不安を覚えた社員もいたはずなのですが、ふたを開けてみたら、社内wikiに基本ルールが網羅されているおかげで、迷わないし、先輩にいちいち聞かなくてもいい、とポジティブな反応が返ってきて。リモートワークに切り替えてから、この社内wikiの価値を実感しました。

また、リモートワークになってから高い価値を発揮しているのは動画ですね。Zoomを使った社内向けの説明映像などは、すべて録画して社内wikiに置いています。新しく入社した社員は、まずこの動画を見てもらうようにしているので、先輩社員が一対一で業務の説明をする必要がほとんどなくなりました。

ーーそれは逆に、社員同士のコミュニケーションの低下につながったりしないのですか?

社内wikiや動画は、実務的なナレッジや考え方を伝えるための施策で、社員とのコミュニケーション施策は別で走らせているんです。具体的には、音声チャットツールのDiscordを使ってバーチャルオフィスを構築しています。オフィスの空気感を仮想空間に再現していて、オフィス以外にも会議室や1on1ルーム、集中部屋、雑談部屋などを作り、メンバーが自由に行き来できるようにしています。

朝はみんなで朝礼をして、近況報告や連絡事項を周知したあと、持ち回りで社員が小話をして。今日だったら、エンジニアの一人が好きなiPadアプリの話をして、それに対して「これ便利だね」「こういうアプリを自分も買いたいと思っていた」など会話が広がる。しっかり情緒的なコミュニケーションができる場も作るようにしています。雑談のような、関係性を作るための情緒的な部分はバーチャルオフィスでカバーしながら、社内wikiでは少し無機質にナレッジをストックしていく、という使い分けですね。

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ベイジ社内。リモートメインのため、ほとんどの社員が在宅で業務を行なっている


ーー社内wikiに情報が淡々とストックされていることや、記事の発信など、ベイジさんでは「ナレッジを言語化」することが文化として根付いているのですね。

正直、特別なことはしていなくて。ただ、創業当時の社員が3人のときからずっと同じやり方を続けてきただけなんです。当社では最初から日報を書いていましたし、ブログを使ったナレッジの発信も行なっていました。後から入ってくる社員は、だいたい社員のTwitterや「ベイジの日報」を読んで、会社の空気感や文化を知った上で入社してくるので、カルチャーフィットしていることが多い。この積み重ねで、自然と情報が言語化され、社内にナレッジが蓄積していくサイクルが作られるのだと思います。


取材を振り返って

Web制作のワークフローや各種テンプレート、UIデザイン改善時のチェックリスト、提案書の書き方、といった事業の根幹ともいえるのナレッジから、従業員の日報(業務上での失敗・学び 等)のような従業員単位でのナレッジまでをオウンドメディアを通して一般公開しているベイジさん。僕は枌谷さんのいちTwitterフォロワーとして、ベイジさんの社内カルチャーやナレッジマネジメントの取り組みについて非常に興味を持っていましたが、今回の取材でいくつもの点が線になりました。ベイジさんのナレッジマネジメントの取り組みは、多くの企業・チームでも参考になる箇所が非常に多いと思います。本記事が、自社・自身のチームのナレッジマネジメントを考え直すきっかけになれば幸いです。(PRAZNAマガジン編集部 鈴木洋佑)


取材・文:早川大輝
編集:守屋和音/ノオト
撮影:新谷敏司

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